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史跡案内ボランティアガイド


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2015年11月度 史跡巡り(大牟田市)

2015年 11月 史跡めぐり
2015年 11月17日(火)8時40分~17時30分 雨
福岡県 大牟田市・世界文化遺産の見学、参加者 9名

史跡めぐり行程 
出発 ⇒ 大牟田市庁舎前 ⇒ 宮浦石炭記念公園 ⇒ 宮原坑 ⇒ 万田坑
⇒ 昼食(中華料理「彩花」)⇒ 三池港 ⇒ 石炭産業科学館 ⇒ 解散 

朝からあいにくの小雨。「ところにより雷雨」の予報を気にしながら今回は、この7月に「明治日本の産業革命遺産 -製鉄・製鋼、造船、石炭産業-」で世界遺産に登録されたばかりの大牟田市を訪問しました。1850年から1910年までに造られた8県11市の関連23資産のうち、三池エリア(一部荒尾市)の遺産を見学しました。いつもと違い比較的新しい近代の遺構でしたが、見所も多く、世界遺産人気でどこもたくさんの見学者が、入れ替わり立ち代わり交錯していました。
九州自動車道南関IC経由で10時半ちょうどに、これも国登録有形文化財に指定されている「大牟田市役所本庁舎旧館」前で、「大牟田観光ボランティアガイド」の今村さんと合流しました。

宮浦石炭記念公園(宮浦坑跡)
園内の樹木は、石炭の原木「メタセコイア」
2015年11月度 史跡巡り(大牟田市)_b0273309_16221321.jpg
ガイド歴10年のベテランの今村さん
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レンガの煙突
公園に残る31.2mの煙突は明治21年の建造で、
13万8千枚の煉瓦が使われている。
2015年11月度 史跡巡り(大牟田市)_b0273309_1624256.jpg
      斜坑人車
2015年11月度 史跡巡り(大牟田市)_b0273309_16244220.jpg

宮浦坑は、炭鉱が官営時代の明治20年(1887)の開坑で、現在は記念公園になっています。 坑とは、石炭層のある地下の作業現場まで人や空気や資材を送り込むための必要不可欠の穴で、立坑と斜坑があります。掘り進むうちにたくさんの坑が掘られましたが、廃坑時の条件だったとかで、ほとんどが埋められています。♪月が出た出た~でおなじみの「炭坑節」「お月さんが煙たいほどの煙突」の本家は、田川の伊田炭鉱の煙突のようですが、こちら三池炭鉱の歌詞の方がポピュラーです。
公園では斜坑口や斜坑人車、眼下に見える三井化学工場の線路には今も稼働中の旧三池炭鉱専用鉄道電気機関車を見ることができます。

現役稼働中の電気機関車(赤)
2015年11月度 史跡巡り(大牟田市)_b0273309_1613187.jpg


専用鉄道敷跡(世界遺産)
狭い道を通って約10分で世界遺産の宮原坑です。道路の右下には昔の線路敷が残っています。
旧炭鉱専用鉄道は、石炭の積み出しのために港と坑口の施設や石炭を原料とする化学工場、社宅等を結んでおり、最盛期で総延長150㎞にも及びました。一部の路線は現在も稼働中で、この鉄道敷跡も世界遺産に含まれています。
 専用鉄道敷跡(左は宮原坑)
 
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宮原坑 (世界遺産、国指定史跡・重要文化財)

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バスを連ねた大牟田小学校6年生の社会見学と一緒になり、賑やかでした。世界遺産で早速学べるのも地元ならではの環境です。

宮原坑は、明治後期から大正までの主力坑で、人の昇降に用いた鋼鉄製櫓とレンガ造の巻上機室が残っています。三池は、土を10t掘ると1tの水が出ると言われたほど水気の多い土地で、石炭を掘るために、まず必要な坑を掘るための排水の苦労がありました。
三池鉱山は明治22年(1889)に三井に払い下げられましたが、一緒に三井合名会社に移籍した団琢磨(後の理事長)が、イギリス製の高価な大型排水ポンプ(デビーポンプ)の採用をすすめ、近くの三池集治監(現三池高の場所)の囚人労働まで使ってやっと排水に成功して、明治31年(1898)に開坑しました。現存する最古の鋼鉄櫓である第二竪坑櫓は明治34年築のものです。約160mメートルの地下で水と格闘する人々の苦労が、石炭産業の近代化の幕開けとなったようです。

このエレベーターで地下へ
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巻上げ機
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万田坑(世界遺産)国指定史跡・重要文化財)
万田坑は、宮原坑から10分ほどですが、熊本県荒尾市に入り込んだところにあります。こちらは広々とした敷地で、観光施設(入場料410円)としても立派に整備されており、チケット売り場も団体客で混み合っていました。                                万田坑は、明治35年(1902)宮原坑に続き開削された坑口で、三井の総力を挙げて建設した明治期で日本最大規模の炭鉱施設だそうです。巻き上げ機のワイヤーの太さにびっくりです。ほとんどが国重要文化財になっています。

万田坑第二竪坑櫓
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人用巻揚機
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坑道
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唯一埋められていない第一竪坑跡
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山ノ神祭祀施設(ここでお参りしてから入坑した)
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本日の昼食

中華料理「彩花」 大牟田駅前店

酢豚とエビチリ定食 (杏仁豆腐のデザート付き)
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三池港(世界遺産)

三池港は日本唯一の閘門(こうもん)式の港で、やはり団琢磨の「築港は100年の基礎」の提言で、明治41年(1908)に開港しました。遠浅で干満の差の大きい(5.5m)有明海で、渠内(ドック)の水位を一定に保つための閘門式水門があり、水路の浚渫などとあわせて大型船の着岸が可能になっています。小舟で1日がかりで一旦口之津港まで積み出して、大型船に積み替えていた石炭の流通が、三池港開港で飛躍的に改善されました。
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ラッキー!
ガイドの今村さんも初めて見たという、閘門から実際に大型船がすれすれで出てくる一部始終をちょうど目の当たりにすることができました。

閘門を船が出てくる
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すれすれで通り抜ける
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今村さんのガイドはここまでです。
歯切れの良い説明で楽しく勉強できました。 
ありがとうございました。



石炭産業科学館
石炭に関する歴史や技術、文化が全て詰まっています。
館の福田さんに、1時間コースで館内を案内していただきました。大牟田を知ってもらい、たくさんの人に来てほしいとの思いが伝わる、素晴らしいガイドでした。ありがとうございました。

各種石炭の標本(ボタは埋め立てに利用)
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メタセコイアの化石
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二層の石炭層坑道模型
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ロードヘッダー(日本で開発の小型採炭機)
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石炭の種類や15世紀から始まっていた石炭採掘の歴史、海底炭鉱の構造などを説明してもらい、世界遺産関連のビデオを見てから、がたがた揺れるエレベーター?に乗り数十秒で400m地下の採掘現場の見学です。さまざまな近代的石炭掘進・採炭用機械や電気機関車、炭車などが見学ルートに展示されています。ツルハシでの石炭掘りの暗いイメージとかけ離れた、すごい機械ばかりです。ぐるりと回ってまた明るい部屋に戻ると、なんと先ほどのエレベーター乗場の隣でした。

約5度の角度で有明海の海底に延びている石炭層をどんどん機械で掘り進んだが、まだ石炭は四分の三位残っているとの話には驚きました。輸入石炭との価格競争に追いつけず、閉山に追い込まれていった日本の100年ばかりの炭鉱の長いようで短い歴史に、世の中の変化の激しさを改めて感じました。しかし、石炭が明治・大正・昭和期の産業発展を支え、自力による日本の近代化に果たした役割は、小さいものではなさそうです。

石炭産業科学館で記念撮影
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帰りは大牟田名物「草木饅頭」を求めて江口屋に立ち寄り爆買?
美味しいお饅頭でした。
南関IC近くの道の駅「おおむた はなぷらす館」で買い物をした後、解散しました。
帰りの高速道(特に久留米・鳥栖辺り)は土砂降りになり、前も見えないほどでしたが無事に帰着しました。見学中だけでも小雨で良かった…。

皆さんお疲れ様でした。
by Fukuoka-heguri | 2015-11-16 16:19 | 史跡巡り | Comments(0)